達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

岐阜県立加茂高等学校 渡部正実先生
  • 岐阜県立加茂高等学校
  • 渡部正実先生
今回のヒント
アルファベットの基本から見直す発音向上法

突然ですが、アルファベットの発音を全てローマ字で書いてみてください。この質問に対する本校のある生徒の解答をここにまとめてみました。

さて、この【表 1】のどこを直したら良いでしょうか。


【表 1】

私は【表 2】のように赤字で指摘しました。では、どのように変えたら良いでしょうか。考えてみてください。


【表 2】

そして【表 3】のように訂正しました。


【表 3】

aを長音ではなく二重母音の[ei]、同様にjやkも長音を用いないようにします。指導した生徒は「lは巻き舌で発音しないと英語っぽくない」と独特な見解を述べていました。lは日本語の「ラリルレロ」とも微妙に違う部分があり、最初から正確な発音は難しいと思いますが、舌の先を上顎から話すのを少し我慢し、長くタッチしているとより英語の音に近くなります。

f、m、n、r、s、xは最後に[u]の音を付けてしまいます。ここを我慢して[u]を入れないようにすると非常に英語らしい発音になります。またzはマジンガーzの影響もあり、どうしても「マジンガー・ゼーッ!」と発音したくなります。あの発音ならOKとしましょう。言っている方も聞いている方も元気になれます。いやいや、そうではなく最後に[o]が入らないから良いのです!

最後に世紀の大発見を披露して終わりたいと思います。色付けされている部分に共通する部分は何でしょうか。しばらく答えを見ないで考えてみてください。


【表 4】

「母音が子音の前にあるアルファベット」、正解!

アルファベットの名前には①子音+母音の組み合わせのもの②母音+子音の組み合わせのものと両方存在するのです。私自身「何となく違和感」があったのですが、なぜ②のような組み合わせが存在するのか気が付いた事があります。②のグループのアルファベットの音は母音を長ーく発音しながら「蓋をする」音だと言うことに気付いたのです。分かりやすいのはm、nですね。まさしく「口を閉じる」です。mの文字はずっと見ていると口を閉じた唇に見えてきませんか?

発音エクササイズ!
「SLOWLY, SLOWLY, SLOWLY」(ゆっくりと発音してください!)

突然ですが、発音エクササイズです。次のアルファベットをゆっくりと発音してみてください。できれば、口の中や外の筋肉、舌がどう動いているか感じ取るつもりで言ってみましょう。

1)f  2)l(L)  3)r  4)s

次のようなことに気付かれるのではないでしょうか。
1)fは[e:]と言いながら唇を徐々に上げ上前歯に当てる。
2)lは[e:]と言いながらゆっくり舌を持ち上げ上前歯裏に当てる。

「日本人のlは舌先を早く離しすぎる。」(本校ブラジル人生徒談)そうです。
3)rはもっと簡単。[a:]と言いながら舌を持ち上げるけどどこにも当てない。脱力した感じで[a:]と言う。
4)sは[e:]と言いながら蚊に刺された後に塗る薬を塗って「スースー(する)」の[s]を発音する。

このエクササイズで「アルファベットの名前を正しく発音すれば、英語の発音はもっと良くなる」、ことが分かっていただけるかと思います。

実はこのエクササイズは部活動からヒントを得ています。私は剣道やバドミントンを指導する事がありますが、指導する時に「覚えたい動作をゆっくり動作」させます。これによって「どの部位や筋肉を動かすのか」を意識化させ、動作の質向上につながります。最初から「速く動作させよう」とすると大事な動きを省く事が多く上達を阻害するわけです。英語の発音も筋肉や舌の動きから意識化・改善すると、発音が良くなりリスニング力も向上しますよ!

最後に本校生徒が発見した「ネタ」を紹介して終わります。 I was awakened by a loud knock.という本文を使い、音の変化について学習していた時の事です。

「I was awakene(d) by a loud knock.」

①wasとaがくっつく。【同化】
②awakene(d) byのdが消えたように音が消える。【脱落・弱化】

上記の表を説明した時にある生徒がルール①から 「母音ってさ、結局子音だけでは発音しにくいから、それを助けるためにあるんじゃないの?」と言いました。「鋭いっ!そうなんだなー」っと私が納得させられたのでした。すかさず私は「母(音)と子(音)は仲がいいよね。だから音がくっつくんだぞ!」と言いました。するとまた別の生徒がルール②をみて、

「兄弟喧嘩って年上の方がすーっと消えていくよねー」とか「あ、兄とか姉は妥協してくれるよね」と言ったのです。文中で、子音同士が隣り合った場合、前の子音が変化するときがあります。専門的には弱化と言います。

「I have to go to school today. (今日行きたくないんだけどさ、学校行かなきゃいけないんだよねー)」

この場合のhaveは[hav]とは発音しません。弱くなる、まさしく「妥協」するという感じがぴったりです。

このような発音上の法則を文法に対して発音上の法則ということで「音法」と呼んでいます。音法のイメージは「母と子のイメージ」と「兄弟姉妹のイメージ」です。また、トレーニングされる時に最初は①同化にはアンダーライン、②脱落・弱化には( )を付け、視覚化して音読練習するとより英語らしい発音になり、またリスニングでも聞き取れるようになると思います。

[参考文献]
『英語の耳と口を手に入れる13の法則』 日本実業出版社/Tad 金子(著)

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