達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

新潟県立村上中等教育学校/水戸直和先生
  • 新潟県立村上中等教育学校
  • 水戸直和先生
今回のヒント
創造・協働の今、自分の思いを見える化し、発信しよう!

面白い時代がやってきた

面白い世の中になってきました。京都の高校生、田上大喜さんが科学的大発見をしたかと思えば(*1)、教科書や雑誌に目を通すと、「コンバージョン」(*2)や「バイオミメティクス」(*3)などという興味深い言葉が見受けられます。先行き不透明な時代と言われてますが、誰もが社会を創造できる今。転換、創造、協働をキーワードとするこの時代において、どんな外国語学習が考えられるでしょうか。

私の授業― 読み、引き、書き、発表する

私は普段の授業で、生徒の皆さんが「目の前の資料を客観的に読めること」「自分なりの意見やアイデアを持つこと」「論理性に配慮し、表現できること」を目指しています。具体的には、家庭学習の課題として生徒の皆さんが①教科書とは別の英文の素材を読み②自分の琴線に触れた部分に下線を引き③さらにその英文について印象に残ったことや体験や感想を英語で書く、というものです。そして授業では④友人に向かってその書いてきた英文を発表したり、引いてきた線について意見交換をしたり、相互添削などの活動を行います。

これはかつて明治大学教授の斎藤孝先生が提唱されていた「三色ボールペン」読解法(*4)やアメリカなどで広く行われている「リテラチャーサークル(*5)」という読書法を参考にしたものです。②については自分が大切だと思ったところ、面白いと思ったところ、これは使えると思った表現にそれぞれ別の色で下線を引いていきます。この際、ぜひ自分の思いを率直にメモしていきましょう。読解にはreading for information, reading for pleasure, reading for language(*6)があると言われていますが、この活動はこの3つの読み方が1度に体験できます。また発表や相互での添削の活動では、友人が使った表現もどんどん参考にし、まずはacceptableな英文を発信できることを目指し、同時にfluencyとaccuracyを高めていきます。

これを自学用にアレンジすると

この方法は自主学習にもアレンジできます。まず①の英文の選び方としては、苦痛なく読める英文や少しレベルの高い英文を選ぶようにすると良いでしょう。著名な言語学者クラッシェン(Krashen, S.D.)によると僅かに高いレベルの言語のインプットを理解した時に英語は進歩するとのこと。彼はこれを「i+1」と表現しました。ネタバレになるのを防ぐため、詳細を書くことは控えますが、例えばサイドリーダー"Japan(Oxford University Press)"(*7)を読んだ際、私は以下の箇所に思いきり下線を引きました。

Japan is a country of islands. It has four big islands --- Honshu, Hokkaido, Kyushu, and Shikoku --- and nearly seven thousand smaller ones.

私はこの文を読み、初めて日本にこれほど多くの島があることを知りました。またこんな箇所にも線を引きました。

Better robots and newer phones! More exciting computer games! Taller buildings and faster trains! This is Japan --- the old and the new together, always changing, and always the same.

私はこれほどThis is Japan.という表現が生き生き使われている例を私は見たことがありません!次の箇所はいかがですか?

Some people wear their best clothes in Ginza, because it is a very expensive part of Tokyo.

英作文とフィードバック

また④の添削については先生などに添削してもらえたらよいですが、個別の学習環境だったり友達同士で行う場合は、「今回は冠詞」「次回は時制」「また別の機会に因果関係」などとチェックする項目を絞るとよいでしょう。例えばBritish Council作成のチェックリストなどが参考になります(*8)。

試行錯誤も大切なプロセス

知識基盤社会を生きる私たちにとって、目の前の課題は刻々と変化します。それを目のあたりにし、その課題をどう攻略するか自分なりの作戦を立てることも必要なスキルだと私は考えます。先日、The Japan Times Alpha紙(May 31, 2019)に品川女子学院高等部3年生(当時)の福原華乃さんのアイデアを基にした学習法が掲載されており、私自身、感銘を受けました。読者の皆さんも今、身に付けたい力を明確にし、そこから逆算し、学習法を考えてみてください。試行錯誤は悪いことではありません。ともに頑張っていきましょう!

 

(*1)京都教育大学附属高等学校2年(当時)田上大喜さん。蚊に刺されやすい妹さんの悩みを解決しようと奮闘。その原因を突き止めました。
(*2)「コンバージョン建築」などで調べてみてください。
(*3)「ネイチャーテクノロジー」などとも言うようです。国立科学博物館発行の機関紙「milsil(ミルシル)」が参考になります。
(*4)『三色ボールペンで読む日本語』角川文庫/斎藤孝著
(*5)Rivers, W., M.(1981).Teaching foreign language skills in a foreign language skills. Chicago: University of Chicago Press.など
(*6)Harvey Daniels.2001. Literature Circles: Voice and Choice in Book Clubs & Reading Groups. Stenhouse Pub.など
(*7)Rachel Bladon.2013.Japan(Oxford Bookworms Library. Factfiles. Stage 1).Oxford University Press.より。Used by permission.
(*8)British Council作成のGuided self-correctionでは、Singular/Plural, Verb form, Word order, Something is missing, Not necessary, Wrong word, Punctuation, Preposition, Spellingなどの観点を挙げています。

  • 新潟県立村上中等教育学校
    水戸直和先生 プロフィール
  • 新潟県立村上中等教育学校 英語科教諭。司書教諭。新潟大学大学院教育学研究科修了。在学中、松澤伸二先生から「チャンキング」、また大浦容子先生から認知心理学、また足立幸子先生から読書指導について学ぶ。現在Data Driven Learningについて関心があり、千葉大学・西垣知佳子先生よりご指導いただく。著書に『Stepwise英語総合問題集 1, 2, 3, 4, 5』(文英堂)。授業以外ではモノやサービスの開発、イベント開催などの背景に関心がある。「大地の芸術祭2018」作品鑑賞パスポート購入者。『日経ビジネス』(日経BP社)、『CNN English Express』(朝日出版社)年間購読者。
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